避難所トイレのおススメは?被災地のトイレ事情

働きすぎですよ。私はマグロと同じで止まったら死ぬんです

お風呂の待ち行列で、キッチンカーの配膳で、仮設トイレでと、珠洲市宝立町避難所のいろんな場面で出会う素敵な方です。避難所の皆さんも顔を知らない人はいない小白靖治さんと避難所トイレについてお話しました。衛生と健康、心理的影響、プライバシーなどの面から災害時におけるトイレ問題の解決は非常に重要なのです。
小白さんは生まれも育ちも珠洲で、長く土木関係の仕事をされてきました。引退されてからは震災に合うまで農業を営んでいました。珠洲市宝立町避難所では本部スタッフとしてさまざまな避難所運営に携わっています。

1月2日に避難所が開設されてから、珠洲市宝立町避難所では、さまざまな仮設トイレを設置運営してきました。もし自分が被災したらトイレ事情はどうなるのだろうと、読者の皆さんも気になることと思います。避難所の開設期(1月中旬)、運営模索期(1月末-2月1週目)、運営安定期(2月1週目-)というようなフェーズに合わせ、小白さんからのお話からこれまで設置された仮設トイレを振り返ってみましょう。

能登半島地震 マンホールトイレ避難所の開設期に、最初に道路に設置されたマンホールトイレです。下水溝と直結していますが、すぐに下水溝がいっぱいになり、使えなくなりました。
こうした状況は避難所内(学校)の各階トイレ設備も同じです。水を汲んできて流せばと思っても下水道が使えませんから流せません。こちらも同じくすぐに使用不能になりました。

能登半島地震 工事現場やイベント会場、高速道路SAなどで使われる仮設トイレ同じく避難所の開設期に設置されたポピュラーなタイプの仮設トイレです。洋式と和式の2タイプがあります。工事現場やイベント会場、高速道路SAなどでも使われる実績のある仮設トイレです。もちろん今も設置されています。

能登半島地震 茂原市 オートウィル 仮設トイレ
千葉県茂原市総務部防災対策課から提供されたインテリジェントタイプのトイレ「オートウィル」です。避難所の開設期、運営模索期(1月末まで)に設置されました。千葉から大型トレーラーで運ばれました。悪路をよくここまでたどり着きました。たぶん20時間以上かかったと思います。とてもありがたく感動しました。

能登半島地震 茂原市 オートウィル 仮設トイレ
女性3洋式、男2洋式+2小便、中央には洋式+授乳室もあり、冷暖房が完備された高性能の最先端仮設トイレです、たぶん。雪が降っても運用できます。オートウィル社員の方も常駐するという、運用面において訓練などスキルが必要そうです。

能登半島地震 いわき市 災害用大型トイレカー
オートウィル仮設トイレの次に来たのがこのいわき市の災害用大型トイレカー(仮設トイレ)です。女洋式3と男洋式2+小1になっています。中型トラックでそのまま移動できるのが大変便利だと思います。こちらも遠路はるばる大変ありがたい仮設トイレです。

そして運営安定期、2月20日ごろ到着した、スロープがあり車いすで利用できるバリアフリーなモバイルトイレです。たいへんきれいでモダンなデザイン。さすがトップメーカーが作ると納まりなどのクオリティが高いですね。珠洲市宝立町避難所では障害がある方など、利用者を選定して使用してもらっています。

– 小白さん。これらの中で最も避難所におすすめのトイレはどれでしょうか?
そうですね、どれも優れた仮設トイレですがやはり「通常型の洋式タイプの仮設トイレ」です。こちらがやはり我々が運用するという意味で扱いやすいトイレだと思います。作りがシンプルで掃除などもしやすいです。それから男性用に小便器の仮設トイレを併設することで洋式タイプの汚れを減らせると思います。和式タイプには手すりがあると使いやすいと思います。

– 避難所トイレの問題は何でしょう?
やはりマナーです。自分の家はきれいに使いたいけど、公衆のトイレは適当でもいい、誰かが掃除してくれるというような意識が働くのではないかと思います。例えば、避難所内(学校)の各階トイレ設備も「使用不可」表示は無視されますし、テープで✖印にしてもそれを乗り越えます。段ボールで入口を塞いでやっと使用しなくなりました。

– これは当避難所というよりもどこの被災地でも発生している問題のようですね
そうですね。たぶん身体の不調や高齢などいろいろ抱えている健康問題面もあると思います。相談するよりもついつい行動して汚してしまうのでしょう。

– 避難所トイレ問題の解決策は何でしょう?
意識の問題です。珠洲市宝立町避難所は各部屋ごとに班で構成されています。トイレ掃除をすべて各班全員に振り分けました。各班で週に1回は仮設トイレを掃除します。トイレットペーパーや薬剤を補充したりもします。当事者意識を持つことで仮設トイレはとてもきれいに運用されるようになりました。

お話から小白さんが避難所のトイレ問題について具体的な提案や解決策を提示し、地域コミュニティの協力と意識の向上が重要であると考えているのがよくわかります。こうした解決策はトイレに限らずさまざまな避難所の運営業務に活かせることでしょう。

働きすぎですよ。私はマグロと同じで止まったら死ぬんです(笑)。そして、スタッフと雑談しているほうが気がまぎれますし、気分も明るくなりますし、新しい視点やアイデアも得られるかもしれません。
一人でいると、自分の思考にとらわれがちですが、他の人と交流することで気持ちの切り替えやリフレッシュができますね。

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